Feature Vol. 03 モーション、動きと気持ちの関係性

ゲームにおける「動き」。ゲームをよりわくわくさせるインタラクション。そこにはどんな仕組みが隠されているのでしょうか? たとえば、人の心を動かす法則のようなものが存在するのでしょうか? 動きが人に与えるものとは? 探っていきましょう!

Part 1

ゲームの「インタラクション」とは!?動きを極める

Preface

goodLOOPS 特集第3回のテーマは「動き」です。ゲームでは、プロモーションムービーに始まり、戦闘中の激しい演出やガチャが当たったときの派手な演出など必ずといっていいほど動きがあります。動きがないものはゲームとはいえないかもしれません。そこで、まずはゲームを支える動きを制作するgloopsのメンバーに話を聞きました! インタラクションってゲームの何? 今回も広報部 部長の濵と探っていきます!

広報部 部長 濵 剛志

広告制作会社を経て、2013年にgloops入社。gloopsのブランド管理者として、現オフィスをはじめ、自社に関するさまざまな案件のプロデュースを担当する広報部長。goodLOOPSの仕掛人でもある。

インタラクティブデザイングループ マネージャー Yuichiro T.

携帯コンテンツ制作会社を経て、2011年gloops入社。Flashグループの一員として、Webゲームの演出制作を担当。2012年7月くらいからマネージャーに就任。グループメンバーに支えられ、何とか日々を過ごしている。

インタラクティブデザイングループ Mitsuru I.

映像制作会社からソーシャルゲーム会社を経て、2013年にgloopsに入社。インタラクティブデザイングループとしていくつかのコンテンツを担当。演劇経験や映像業界経験を活かした表現で真心のこもったアニメーションを制作する。

インタラクティブデザイングループ Ten K.

中国天津市出身。2008年来日、学校でCG、アニメーションを勉強して、2014年新卒としてにgloopsへ入社。多数のコンテンツのプロモーション動画やOP動画を担当。現在は新規コンテンツのエフェクトを制作中。

動きのデザインって何? インタラクションを考える

さっそく登場してくれたgloops「インタラクティブデザイングループ」の3人。Yuichiro T.はインタラクティブデザイングループのマネージャーを務めつつ、新規コンテンツ立ち上げにも携わっています。Mitsuru I.はWebのブラウザゲームでFlashを使った演出を手がけ、Ten K.はネイティブアプリの動的演出を担当するかたわら、プロモーションムービーも手がけており、ゲーム以外でも動きの演出を担当しています。

Yuichiro T.「モバイルゲームの演出担当って、今までは部分的なアニメーションやエフェクトを制作していた程度だったのですが、最近はただ動きをつけるだけじゃなく、ゲーム内の動的な演出全体をディレクションしていかなくてはいけなくなってきています。動きがUX(ユーザーエクスペリエンス)に直結していることを考えると、業界的にもすごく重要なポジションになってきていますね。」

インタラクションには双方向のやりとりという意味が含まれます。ゲームはプレイヤーがアクションをして、それが「何か」につながっていきます。ストーリーが進んだり、ガチャが当たったり、対戦相手と戦ったり…。単に動きを演出するという意味合いだけでなく、コミュニケーションをデザインするという意味が込められているのですね。では、「いい動き」って何なのでしょうか?

「いい動き」の「いい」って何?

モバイルゲームでの動きがコミュニケーションという意味を含むのであれば、いい動きとは、何と定義付けられるのでしょうか? まずは、3人にエフェクトデザインをする際のこだわりを聞きました! こだわりの向こう側にいい動きが何なのか、見えてくるかもしれません。

Yuichiro T.「動きのテンポにはとても気をつけてますね。僕は、ストレスのない動きに一番こだわっています。」

なるほど…。ストレスがない動きって何ですか?

Yuichiro T.「動きに違和感がないのはもちろんですが、何回も繰り返し見たくなるような体験が…、ストレスがないというか気持ちいいっていうのかな。」

確かに、ゲームのインタラクションって何度も現れますよね。ガチャのアタリが気持ちいい表現であれば、また当てたい! という気持ちを助長させます。

Yuichiro T.同様、テンポが大事だと話したMitsuru I.ですが、さらに演出の難しさと自身のこだわりについて下記のように話しました。

Mitsuru I.「自然の中にあるもの、火とか水とか、プレイヤーが普段の生活の中で見ているものの演出は難しいです。忠実につくるとテンポが悪くなったり、それこそ違和感を感じさせてしまったり…。演出を盛るという意味で、少なからず嘘をつかなければいけません。どう違和感なく、けれどわくわくさせられるものとして見せられるか、こだわっていますね。」

いつも私たちが見ているものの表現は難しい。それは、違和感に気づきやすいからですよね。何が本物と違うのか、そこに気づくことができてしまう。その点まったく新しいものであれば、表現はかなり自由です。一方で、Ten K.は全てが新しいものというのはプレイヤーに受け入れられないと話します。

Ten K.「自分のこだわりとしては、見たことのない表現をいつも心がけています。でも、まったく新しい表現というものにプレイヤーはついてきてくれません。あれ? ってなってしまう。自分としての割合は、今まであった表現70%、新しい表現30%です。」

3人の話を聞いていると、「わくわくさせられるか」という言葉が何度か飛び出しました。いい動きというのはプレイヤーの心をいかにゲームにのめり込ませるのかというところに収束するのかもしれません。テンポよく、違和感を感じさせず、新しさというスパイスを。しかし、ゲームには制限がつきものです。制限とはデザイナーの表現をどう変えるのでしょうか?

制限の中での最大表現! 生まれた秘技

一般の方が想像する以上にモバイルゲームでの表現には制限が多いものです。まず大きな制限として容量があります。ゲーム自体が重たくなってしまうと表現をいくら工夫してもプレイヤーは離脱してしまいます。制限との戦いはモバイルゲーム開発現場において宿命ともいえる戦いなのです!

Mitsuru I.「攻撃のシーンで剣を振り下ろすとかあるじゃないですか。でも、容量の問題で2カットしかつかえない。どう振り下ろしているように動きをつけるか。描けない部分をプレイヤーが想像できるようにどうつくるか。難しいですね。」

表現する部分と想像させる部分の制限のバランスってあるのでしょうか?

Yuichiro T.「そうですね。最初は制限を気にせずつくってみて、そこからそぎ落としていますね。これだっていうバランスの法則はないかなぁ。いろいろな人に見てもらってブラッシュアップしていくしかない。」

制限があることで頭に描いていた表現がむずかしくなる。クリエイターにとってはつらいことかもしれません。そんな中、Mitsuru I.は制限があるから助けられてきたと話しました。

Mitsuru I.「制限がないと生まれなかったものがありましたね。つくるときのとっかかりとして、制限があると考えやすいときもありました。」

そうしてMitsuru I.が生み出した表現のひとつに、特徴的なループ表現があるといいます。

Mitsuru I.「エフェクトなどでずっと燃えているとか、水が流れているとか、そういったループの処理のことです。まだ新人の頃、会社の先輩にとあるシーンで『雲を流れるようにしたらいいんじゃないか』って言われて…。当時は背景画を描いているイラストレーターさんに、『雲を増やしてください』って怖くて言えなかったんです(笑)そこで、いかに今ある素材で雲を流れているように見せるのかを考えて生み出したのが、みんなから高く評価してもらってるループ処理の手法です。」

実はひっそりとつくられていたMitsuru I.の秘技。毎週行われるgloops内での「エフェクト勉強会」で紹介したところ予想以上の評価をもらったそう。確かに制限がなければ生み出されなかった技ですね! そんな制限との戦いの中で動きを開発し続けるインタラクションデザイナーのみなさん。日々どうやって新しい表現のインプットをしているのでしょうか?

インタラクションデザイナーの頭の中! つまり「動き」って何?

つい見たくなる、何度でも見たくなる動きというのは、どこか新しさがないと飽きてしまいますよね。では、新しさを生み出すために日々どのようなインプットをしているのでしょうか?

Mitsuru I.「漫画を参考にしています。一瞬の切り取りの上手さがあるんですよね。『一連の動きの中で、その部分を表現するの!?』みたいな発見があります。静止画で時間が止まっているものが逆にスピーディーに見えたりね。」

確かに、動かない世界で動きを見せている漫画は、制限の多いモバイルゲームの表現でも参考になりそう。逆に実写が参考になると話したのはTen K.です。

Ten K.「主に海外の映画を参考にします。動きだけじゃなく、ストーリーとの絡み、構成を見て勉強しています。面白い作品があれば、何回も見ています。物語と動きがフィットしている理由はどこにあるのかなどを考えたりしますよ。」

さらに面白い視点でインプットしているのがYuichiro T.です。

Yuichiro T.「僕もアニメや漫画が多いですね。それと、バラエティ番組など参考になりますよ。同じ表現でも、番組や人が変われば面白かったりつまらなかったりするでしょ? その違いは何か? 間の取り方、伝え方、そういった表現は、同じ様な動きでも伝えるメッセージが異なるってことで参考にしています。」

ゲームにおける「動き」とは単なる演出ではなく、ゲームにおけるコミュニケーションであり、そして、ストーリーを彩るものでもあるのですね。

最後に「ゲームにとってインタラクションとは?」という問いに、ずばり「命である!」と言い切ったYuichiro T.。プレイヤーをわくわくさせる演出があるからこそ、ゲームがゲームとして楽しまれるのです。ゲームにおいて「動き」がどんな意味を持つのかわかったところで、次回は映画監督に話を伺います。表現のこだわり、観客の心をつかむ法則、モバイルゲームのインタラクションとの共通点は? 違いは? じっくり探っていきます!

 モーション、動きと気持ちの関係性 Part 2  

この記事の情報は取材時点のものです。

Feature Vol. 03 モーション、動きと気持ちの関係性

ゲームにおける「動き」。ゲームをよりわくわくさせるインタラクション。そこにはどんな仕組みが隠されているのでしょうか? たとえば、人の心を動かす法則のようなものが存在するのでしょうか? 動きが人に与えるものとは? 探っていきましょう!