Feature Vol. 02 ゲームを続けたい心理、モチベーションを科学する!

「ずっと遊んでいたい!」「明日もこのゲームがしたい!」ゲーム好きなら寝る間も惜しんで遊びたいゲームと出会うことも多いはず。では、どうしていつもいつまでも遊んでいたくなるのか? 今回は、プレイヤーの「ゲームを続けたい」というモチベーションの秘密を探ります!

Part 1

プレイヤーの行動を紐解くデータマイニングの世界!

Preface

『goodLOOPS』第2回のテーマは「モチベーション × ゲーム」。同じゲームを遊び続ける理由とは、遊び続けてもらう施策とは何なのでしょうか? その答えを求めて、まずはgloopsの「データマイニング部」を訪れました。プレイヤーの行動、ログ情報などのデータを解析している部署です。実際ゲーム開発の現場ではどのような解析が行われて、どんな施策が行われているのか? 早速部署のメンバーに話を聞いてみましょう!

広報部 部長 濵 剛志

広告制作会社を経て、2013年にgloops入社。gloopsのブランド管理者として、現オフィスをはじめ、自社に関するさまざまな案件のプロデュースを担当する広報部長。goodLOOPSの仕掛人でもある。

データマイニング部 Tomonori S.

遊技機メーカーを経て、2013年にgloopsへ入社。『大召喚!! マジゲート』、『大戦乱!! 三国志バトル』など大型コンテンツの分析担当を多数経験し、現在はマネジャーとして後身の指導にあたっている。

データマイニング部 Kouki E.

2014年新卒入社。大学在学時にソーシャルデータのテキストマイニング、推薦システムに関する研究を専攻。入社後は、コンテンツの分析担当を多数経験した後、分析手法やレコメンドエンジンの開発に従事。現在は新規タイトルの分析を担当している。

データマイニングって何?

モバイルゲームにおいて採取できるデータはさまざまです。たとえば、いつログインして、どの機能でどれくらい遊んで、何のアイテムを使ったか。ユーザー行動と呼ばれるそれは、ゲームを運用する上で指標にもなる大切なデータです。そういったデータを扱っているgloopsの“データマイニング部”。では、実際どのようなことを行っているのでしょうか?

Tomonori S.「ゲームは大きく分けて2種類あります。『すでに運用しているゲーム』と『新規で制作しているゲーム』です。まず運用中のゲームに関しては、運用側が意図している“このゲームの面白い遊び方”が伝わっているか? を読み解きます。もし運用側の意図とギャップが生じている際には、導線設計やゲームサイクルを見直すなどの改修を行い、プレイヤーの“遊び方”を最適化していきます。」

Kouki E.「新規タイトルのデータ分析も基本的には同じです。こちらが想定している面白さをプレイヤーに感じてもらえているかを見ていくのですが、実際にはローンチ前のタイトルなので、社内のテスターやクローズドでのβテストなどを行い、バランス面を見ています。たとえば、ゲームを進めていくうえでレベルが全然上がらなかったりするとプレイヤーは強くなった実感が得られず、さらに強い敵が出てきた時に突破できずに離脱してしまう。またレベルが簡単に上がりすぎたりするとすぐクリアできてしまい達成感に欠けてしまう。どのくらいの壁を置いたらこちらが与えたUX※を味わえてもらえるかなというのを数値面でサポートしています。」

また、運用していく上でどういったデータが必要かを算出し、そのデータをしっかり取得できるように開発側にも提案しているとKouki E.は話します。面白いと思ってもらえるように、データを活用する。面白さを気づいてもらえないプレイヤーに対してはどこで離脱してしまったのかを探っていきます。

「面白さの指標」とは? データ運用で大切なこと

運営側の意図する“面白さ”をプレイヤーに体感してもらいたい。では、その面白さとはいったい何なのか、プレイヤーが面白いと感じていることは、何によってわかることなのか? 広報部長の濵は「ゲームは何をもって面白いかというところの指標を決めるのが難しい」と話します。

「基本的に我々のサービスはFace to Faceではなく、製品を通じてのコミュニケーションなので、物言わないプレイヤーの声はデータを見ることで、この人たちはこういっているのではないか?ということを読みとります。その上で、機能改修したり、導線をつくったりしているんです。そういった中で、面白さの指標(KPI※)をさまざま設定していますが、最終的には『ゲームの継続率』に繋がるんですよね。」

「継続してくれることこそが最大の賛成票」と話すのはTomonori S.。どこに賛成を得ているのかを行動から紐解き、プレイヤーの声を拾う。もし離脱してしまっていたら、離脱の壁となる部分を排除したり、新たな導線をつくったり、一つひとつ丁寧に応えていく。しかしながら「それだけでは足りない」ともTomonori S.は話します。

Tomonori S.「プレイヤーの声を拾うことは大事ですが、プレイヤーばかり見ていては、結局ゲーム自体がつまらなくなってしまうこともあります。そのためしっかりゲームとしての主張も出していくことが大切なんです。マーケットインとプロダクトアウトのバランスが大事だと思います。」

これが面白いんだ!という開発側としての主張とともに、プレイヤーの客観的な目も大事にする。このバランス感覚がゲームを運用する上で重要というわけです。さらに、改修スピードも大事だと濵は話します。

「たとえば、飲食店で、店内環境やサービス内容で嫌だなと感じつつも店員さんにはいわなかった。でも次回来店時に改善されていたら嬉しくなりますよね、常連になっちゃうかも(笑)。モバイルゲームの運用は、飲食店等のリアルなサービス業と根本は同じで、お客様の声なき意見にいかにスピーディーに対応するかが肝なんです。」

なぜ離脱してしまう? 遊び続ける心理とは?

データを活用して、プレイヤーに面白さを伝えるための施策を打つ。それでは、具体的に注意しなければならないユーザー行動の変化とは何なのでしょうか?

Tomonori S.は「アラートが鳴っているとき」だと話します。物言わぬプレイヤーが出すシグナルとは?

Tomonori S.「ある日ぱたっと辞めちゃう、その前ですね。『データがなくなる前』です。ログイン→遊ぶ→帰るっていうのが、ログイン→帰るという流れになる。こういう風にならないように、行動が鈍ってきたタイミングに気づかないといけない。」

さらにKouki E.はプレイヤーが持っている資源にも注意しなければならないと話します。

Kouki E.「どのアイテムをどれだけ持っているとか、デッキの状態など、アイテムが少なくなると行動しづらいケースがあると思います。そういったプレイヤーの細かい状態は分析者が常に注視していないと気づけないものなので、大事ですね。」

プレイヤーの行動は素直です。飽きてきてつまらないと思ったら、それがすぐに行動に反映されてしまう。その離脱の理由は想像以上に些細なことだったりします。では、プレイヤーの心を掴み続けるにはどうしたらいいのでしょうか? また、具体的にどのような施策を行っているのでしょうか?

Tomonori S.「たとえば、新しくゲームを始めたばかりの初期のプレイヤーの場合は、ゲーム全体のことがよくわからないと思うので、単に説明を詰め込んでも伝わらないんですよね。大切なのはストレスなく遊びながらゲームの面白いポイントを体験してもらったり、小さな成功体験をしてもらうことなんです。また、初期のプレイヤーは当然持っているアイテムが少なかったりするので手助けすることも効果的ですね。」

明確なマイルストーン(報酬)を提示して、こちらの意図を伝え、離脱を防ぐ。わかりやすいゴール設定をすることで動きを明確にしてあげる。自由にしていいよといわれると動けなくなってしまうのが人間の心理です。データマイニング部では、プレイヤー心理に触れるべく行動経済学※なども取り入れているそうです。

Tomonori S.「小さいゴールは大事ですね。遠くにある、大きな報酬よりも、人は近くにあるリアルな報酬のほうがイメージし易いと思うので。継続的に遊んでもらって、それが1年経った時に大きなプレゼントをしてあげるようなスタンスが理想的だと考えています。」

小さな目標設定で達成感を積み重ねていく。それがゲームを続けるモチベーションに繋がっていくのだとTomonori S.は話します。しかし、ただ達成可能なものを提示し続けてもモチベーションは続かないともいいます。

Tomonori S.「たとえば、対戦系のゲームであれば、みんな勝ちたいんですけど、本当に負けないゲームだとつまらないんですよね。本当に強い人でも負けさせてあげないと飽きちゃう。嬉しいばかりでは嬉しさに慣れてしまうので、悔しいと思ってもらうのも大切なんです。」

Tomonori S.は自身も大のゲーム好き。自分の経験からもデータからもそういった行動は読み取れるそう。ある程度無敵になってしまったプレイヤーは「次のイベントで引退します」と宣言して、綺麗に退会してしまうことがあるのだといいます。そういった上で、Kouki E.はもっと根本的な所が重要なのではと話します。

Kouki E.「基本的には、小さな目標を達成し続けていくと、そのときに楽しいとか嬉しいとかそういった気持ちがどんどん出てくると思うんです。でもそういったものは一時的なものでしかないと考えていて、最終的にゲーム自体が本当に面白いと思ってもらえるか。『この報酬が欲しいからこのゲームがしたい』のではなく、『このゲームが面白いから遊びたい』と思ってもらえる。そういうゲームであれば、報酬がなくても遊び続けるのではないでしょうか? 最終的にはこちらが与えたいUXを味わって貰い、それがプレイヤーにも面白いと思ってもらえるかどうかが重要だと思います。その為にもこちらが面白いと思ってほしいポイントをしっかり味わってもらえるように、バランス設計していく必要があります。」

同じゲームを継続して遊び続けるモチベーション。そこには、そのゲーム性が面白いかどうかが根底にあります。しかしながら、それはある程度主観的な面白さなのかもしれません。だからこそ、小さな目標設定をしたり、導線を引いたり、人間の心の動きを理解した上で設定をすることで、より的確に「面白さ」を伝えることが重要になっていくのでしょう。

さて、この後に続くPart 2では、この「人間の心の動き」がどういったものなのか? また、ゲーム開発現場で行っている施策は果たして理にかなっているのか? その真実を専門家に聞いてみたいと思います!

 ゲームを続けたい心理、モチベーションを科学する! Part 2  

この記事の情報は取材時点のものです。

Feature Vol. 02 ゲームを続けたい心理、モチベーションを科学する!

「ずっと遊んでいたい!」「明日もこのゲームがしたい!」ゲーム好きなら寝る間も惜しんで遊びたいゲームと出会うことも多いはず。では、どうしていつもいつまでも遊んでいたくなるのか? 今回は、プレイヤーの「ゲームを続けたい」というモチベーションの秘密を探ります!