Feature Vol. 01 世界は変わる!? 仮想現実の本質

「すごい!」。VRを体験する人たちの口からは必ずこの言葉が溢れ出します。いつか夢見た「ゲームの世界に自ら入り込む」体験。ディスプレイを眺めるだけでは味わえなかった没入感が多くの人を魅了し始めています。そんな「VR」の可能性を、常に新しい“面白さ”にアンテナを張りゲーム開発に取り組むgloopsが探ります!

Part 3

広がる発想は無限大! VRで何ができるか考えてみた

Preface

「VR」の本質を追ってきた本特集も最終回です! VRの最前線を追った『Japan VR Summit』、VRコンテンツ制作者の本当のところを取材した『カヤック VR部』。今回は体験から知識以上の「VR」の可能性を探ります! 体験するのはWebメディアからTV番組まで幅広く取り上げられている大注目のあの施設「VR ZONE Project i Can」です。gloopsメンバーはどのような「可能性」を見つけることができたのでしょうか?

サーバサイドエンジニア Kakeru K.

サーバサイドエンジニア。前職はSIerだったが、自分が面白いと思えるものを作りたいと考え、gloopsに転職。

フロントエンドエンジニア Shohei O.

2013年新卒で入社。大学でプログラミングを学び、サーバサイドを1年ほど経験した後に現職へ転向。

広報部 部長 濱 剛志

広告制作会社を経て、2013年にgloops入社。gloopsのブランド管理者として、現オフィスをはじめ、自社に関する様々な案件のプロデュースを担当する広報部長。goodLOOPSの仕掛人でもある。

分かっていても本気で怖いと思ってしまう

VR ZONE Project i Can』は株式会社バンダイナムコエンターテインメント(以下、バンダイナムコ)がVRと自社の体感マシン技術を組み合わせ、憧れや好奇心を「本物の体験として提供する」ことを目的に作られた施設です。バンダイナムコが誇るコンテンツ力を最大限に活かし、カーレースや鉄道運転、巨大ロボットなど、大掛かりなギミックを使ったVR体験アトラクションが用意されています。

「始めて10秒くらいで、VRを少しナメてたなと思いました」と感想を述べたのはShouhei O.です。車椅子に乗って呪われた廃病院から脱出するというホラー系アトラクション『脱出病棟Ω』を、Kakeru K.と共に体験しました。

Shohei O. 映画で血や死体を見てもそこまで怖くはありませんが、VRで体験すると本当にそこにいる恐怖感みたいなものがあって。だからプレイ中にKakeru K.とゲーム内で会えた時にはすごく安心しました(笑)

4名までのチーム参加型ですが開始直後に分断され、陰に潜むものに怯えながら別々にルートを進みます。出会えたと思ったら今度は一人が殺人鬼に囚われ、もう一人にマイクで指示を出して誘導し助けに来てもらわなくてはならないのに、恐怖で冷静な指示ができない…。環境を共有している実感や、車椅子という設定で動きを制限されていることがより深い臨場感につながったようです。

脱出病棟Ω

次に体験したのは急滑降体験機『スキーロデオ』。崖が切り立つ広大な雪山を、猛スピードで急滑降していくのですが…。身体が映像に合わせて左右上下に揺れ、さらに目の前からは冷たい風が吹き出してくるため、本当に雪山で急滑降している感覚になったそうです。『脱出病棟Ω』は実在しない世界でしたが、雪山は日本のどこかに確かにある風景。イメージができるからこそ、よりリアルに感じるのかもしれません。

スキーロデオ

ただ、身体の動きを伴うコンテンツでは時に没入感を阻害される感覚もあるようです。地上200mに渡した板の上を歩き、その板の先から動けなくなってしまった子猫を救う『高所恐怖SHOW』。ブースからは叫び声が聞こえたり、実際に座り込んでしまう体験者もいるとか! しかし実際に高いところにいるわけではないですから、現実に歩いている板から片足を床に着けば、一気に魔法が解かれる気がすると濱はいいます。

「本当に高いところにいるように感じながら、踏み外しても大丈夫と頭のどこかで思っていたんです。だから、気持ち的にどこまで乗れるかで怖さが変わりそうですね。」

高所恐怖SHOW

現在みんなが想像しているVRの完成形に近い」とKakeru K.が表現したのは、巨大ロボットに搭乗し敵と戦う『アーガイルシフト』です。同じコックピット内に美少女がいるという不思議な世界観が特徴的です。敵を倒しながら、ふとコックピット内を見渡すと邪魔しないように佇む彼女の姿は健気でいじらしい。つい感情移入してしまいます。現実に用意されたロボットのコックピットの椅子に、映画やアニメで活躍する一流スタッフが描く美麗なグラフィック。ゲーム好きなら憧れる夢のシチュエーションですね。バンダイナムコだからこそ実現したと言うにふさわしいコンテンツ、最もバンダイナムコらしいと言っていいかもしれません。

アーガイルシフト

Kakeru K.「ゲーム的な要素の強い内容で、やはりVRとは親和性が高いと感じました。VR体験の最初のインパクトとして、ワクワクする感じはここのアトラクションの中で一番強かったと思います!」

VRの仕組みを知っていても、実際に体験してみて感じることは想像していたところとまた違う部分があります。まだまだ「VR」は成長段階にあるからこそ、課題が見つかることも。制作とアップデートを繰り返し、VRコンテンツはより未知なるものへと育っていくのでしょう。3人は会場でもさまざまな意見を交換し合っていました。面白い体験はつい感想が溢れ出てしまうものですね。

エンジニアが考えた、VRでできること

もしVRが日常に入り込み、誰もが楽しむ環境になったら…。それぞれに捉えた新しい体験は、どんなインスピレーションをもたらしたのでしょうか?

Shohei O.「今の段階では身体の動きをある程度制限した方が没入感があるように思いますが、それを超えられたら『オンラインオリンピック』のようなことができるかも…。各地に会場があって、今いる場所から自分が競技に参加できるとか!」

「VR上で競技者の身体スペックを忠実に反映するのか、アバターをつくり身体スペックも新たに参加させるかでまったく違ったイベントになりそう!でも、何でも出来てしまうと、本来の目的であるフィジカル面での競争が無くなってしまいそうですね。」

ならば、VRデバイスを入力端末として用いて、ロボットで競技してはどうかというアイデアに発展しました。

Kakeru K.将来的にデバイスはなくなり、身体≒デバイスのような環境になるのではないかと思っています。だから自分に割り当てられたロボットを自分の体をコントローラとして反射神経だけで動かして、ハードウェア的な制約の中で競技することも実現できるのかなと。」

エンジニアらしく、技術的・理屈的に納得できる発想です。しかし、VRはもっと本質的に違う経験をもたらすものでは?

VRはプロペラ機がジェット機になるような、『飛べる+早く』ではなく、飛べないものが飛べるようになるような、根本的な価値が変わる技術だと思っています。だから、技術ドリブンで考えると発想が小さいものになってしまうのでは。それより体験価値ドリブンで空想したほうが"飛べる尖れる"のではないかと思います。」

技術に夢を見る人が考えた、VRにできること

VRは、仮想ではあるけれど現実のように感じられ、そこに描き出されるものには不可能がないことからKakeru K.は「夢を実現する技術のようなもの」だと形容しました。

Kakeru K.「技術要件などを何も知らない時に、聞いた限りの想像で、昔夢で見たような面白い体験がしたい! それをそのまま落とし込めるものという印象でした。翼が生えて飛ぶとか、子どもの頃に夢見ていた戦隊モノのヒーローになるというようなことを、リアリティをもってできると。」

「確かに、夢で見たものが現実化することになりそうですね。用意されたコンテンツを楽しむだけではなく、自分の発想したものをそのまま体験できたら究極ですよね。」

Kakeru K.「それをコンテンツとしてプラットフォームのようなところに集めて、貸し借りをするとかね。」

飛距離のあるアイデアを起点にさまざまな方向へ枝葉が伸びていく。アイデアは遠くても、その方向へ進むための手段は意外に手の届きそうなところにあるものなのです。

「YouTubeとかも、簡単に動画編集ができる環境があるからこそあれだけコンテンツが増えている。まずは手を動かして簡単にVR空間を作れるキットのようなものが登場すれば、今日の夢をちょっと形にしてみようかなと思うかもしれない。」

Kakeru K.「開発者が使いやすいとか、ツールやインフラが整っているとか、そちらの変化も重要ですね。」

新たな技術は様々な影響力を持つものだ。ディスカッションが進むと話はそこへも及びます。

「VRが発達すると経済にも影響すると思うんです。例えばVRオフィスができて出勤しなくなれば、交通の産業がダメージを受けるとか。」

Shohei O.「そうなると、今までの価値観が逆転して、実体験のほうが貴重になるのでは。本が贅沢品になったり、温泉旅館は富裕層だけが行けるような高価な場所になるかも!」

Kakeru K.「もっと物質に依存しなくなったら、お金の概念がなくなって資本主義いらなくなるんじゃないのかなとも思います(笑)」

未来の畑をつくるもの

新しい技術を追いかけ、情報を知ることは重要です。しかし、知っていることだけを材料に考えてできるモノはどこか窮屈になりがちでもあります。情報がいくらでも手にはいる今だからこそ、発想を語り合うことでアイデアや知識の集合体を作りたい。そして何かを生み出したいと思う人たちの話は尽きない。そういう文化がgloopsにはあります。

Kakeru K.「VRで何ができたとしても、結局は手段にすぎません。どんな価値を描きたいのか?という目的があることが大事。自分は人の喜びとか怒りなどのエモーショナルな部分の表現に興味があるので、その実現手法としてVRが適しているなら積極的にアプローチしたいと思います。」

Shohei O.「最初はエンジニアとしてVRに触れておきたいと思っていましたが、今は純粋に面白いから触りたいという気持ちに変わりました。体験することで一番楽しいところを知ってしまったので(笑)。3Dモデルを作るのも初めてなのですが、まずは身近なところからひとつのものを完成させたいと思っています。」

今回はgloopsの事業とは少し離れ、未来を見据える技術としてVRのことを考えてみました。実際に話を聞き、体験することでgloopsのスタッフはとても密度の濃い刺激を受けたようです。目の前の業務だけでなく少し遠くを見て耕した経験と発想の畑は、何かを実らせる土壌になっていくことでしょう。大事なのは「夢」を描くこと、最初にデバイスの限界を考えコンテンツを考えるのではなく、こんなコンテンツがあったら楽しいのではないか? こんなことができたら世界が変わるかもしれない!と発想を飛ばすことです。その「夢」を実現するために「何が」必要か。gloopsメンバーの少年のように輝いた瞳には、既に世界を震わすコンテンツが描かれているのかもしれません。

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この記事の情報は取材時点のものです。

Feature Vol. 01 世界は変わる!? 仮想現実の本質

「すごい!」。VRを体験する人たちの口からは必ずこの言葉が溢れ出します。いつか夢見た「ゲームの世界に自ら入り込む」体験。ディスプレイを眺めるだけでは味わえなかった没入感が多くの人を魅了し始めています。そんな「VR」の可能性を、常に新しい“面白さ”にアンテナを張りゲーム開発に取り組むgloopsが探ります!