Feature Vol. 01 世界は変わる!? 仮想現実の本質

「すごい!」。VRを体験する人たちの口からは必ずこの言葉が溢れ出します。いつか夢見た「ゲームの世界に自ら入り込む」体験。ディスプレイを眺めるだけでは味わえなかった没入感が多くの人を魅了し始めています。そんな「VR」の可能性を、常に新しい“面白さ”にアンテナを張りゲーム開発に取り組むgloopsが探ります!

Part 1

2016年は本当にVR元年か? その実態に迫る!

Preface

gloopsが配信する『goodLOOPS』はこの度、「新しいアソビと働き方を考える」コンセプトでリニューアルしました。gloopsが考える「遊び」とは? また、それを産みだす「働き方」とは? 様々な文化やトレンド、技術からインプットすることで、どんな遊びの未来を見据えていくのか。gloopsならではの視点で伝えていきます!

第1回目となる今回は、今年何かと話題の三次元空間「VR(ヴァーチャル・リアリティ)」! イベントや展示会、アトラクション施設、あるいはネットカフェなどで実際にVRを体験したことのある人も多いのではないでしょうか。今年に入りコンシューマー向けVRヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD※)が一般向けに発売されたことで家庭での使用が現実的になり、さらに今秋にはPlayStation 4に接続する「PlayStation VR※」の発売を控え、業界内では「VR元年」という声も。今後私たちにとってVRはどんな存在なり得、どんな可能性があるのでしょうか?

近々Appleの参入はあるか? VRがもたらす体験価値

国内VR市場活性化を目的としたカンファレンス『Japan VR Summit(以下、VRサミット)』。VR業界の第一線で活躍する国内外のキーパーソンをゲストに迎え、デバイスやコンテンツなどVRを巡る現状や各社の事例などが語られました。関連業界から開発者や経営者層が多数押し寄せ、業界内の”VR熱”を感じるイベントに。しかし、さまざまなコンテンツが出始め、注目が高いと言ってもビジネスとしてはまだまだ黎明期。そこには”新しいデバイスの普及”の壁が立ちはだかります。VRが普及するための要素は何でしょうか?

ハコスコの藤井直敬氏がモデレーターを務めたVRサミット Session Ⅰ「VRがもたらす大変革」では、Oculusの池田輝和氏、ソニー・インタラクティブエンターテイメントLLCの吉田修平氏、HTC CorporationのRaymond Pao氏が登壇。以下、各社のデバイスを紹介をした。
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1.
Oculus Rift
2.
ハコスコ
3.
PlayStation VR
4.
HTC Vive

新しいモノがどれだけ一般化するかは、どれだけ生活に入り込むかが重要だと思うんです。自宅や職場でHMDを使って一定時間生活をするようなサービスを考えると、軽量化はすごく重要な要素だと思います。また、当たり前ですが、それと同時に必然性のあるコンテンツが有るか否かが重要でしょうね。」

「そうですね。ゲームのプレイヤーはたくさんいますが、やらない人もいますからね。VRで職場に行ける、好きな学校に行って好きな授業が受けられるなど、一般の人が必ずする行動に結びついてくるとVRの普及速度は今よりもっと早くなっていくのではないでしょうか。」

冒頭でも触れているとおり、VRへの注目度は高いです。しかし、まだまだコアなゲーマーや開発者がデバイスを購入しているに過ぎません。そこで普及問題解決の糸口になるのはAppleかもしれません。

広報部 部長 濱 剛志

広告制作会社を経て、2013年にgloops入社。gloopsのブランド管理者として、現オフィスをはじめ、自社に関する様々な案件のプロデュースを担当する広報部長。goodLOOPSの仕掛人でもある。

広報 峠 玲奈

人材派遣会社での営業を経て、2011年にgloopsへ入社。総務としてgloopsの急成長期を力強く支えたメンバーでもある。社内リレーションの強さを買われ、2015年から広報部へ異動し、現在は新しい環境で奮闘中。

「デジタルデバイスの領域でトレンドを作ってきたAppleですが、それは製品の機能や利便性だけでなくスタイルがあったからです。持っていることがステータスになるブランドの一つですから、いわゆるギークや技術者層とは違う人たちが注目してくる可能性はあると思います。」

デザインを武器にデジタルデバイスの分野で成功を手にしたApple社。私たちがお金を払ったのはデバイスに対してだけでなく、システムやサービスまで含めた体験価値に対するものです。特にiPhoneはそれが顕著に現れた事例と言えます。では、VRはどうなるのでしょうか?

「AppleがVRに関われば、確実にiPhoneやMacと同期させてくるでしょう。その時どんな価値が起きるのかがポイントになると思います。見た目のデザインで魅了することに長けているだけではなく、ライフスタイルをデザインできるかどうかに強い興味が有りますね。」

すでに人々の生活の深くまで入り込んだデバイスを持つ企業だけに、もし参入するとなれば大きなインパクトを与える可能性も考えられます。10年後に振り返った時、やはり2016年はVR元年だったと言われるかもしれません。動向に注目が集まります。

「当たり前」が変わる!? VRの世界に新しい人生

現在、VRコンテンツというと体験型映像やゲームが多いですが、VRサミットでも事例として取り上げられた「VRChat※」は少し毛色が違います。ユーザーがVR空間の中でアバター※を操り、アパート・ダンジョン・月などさまざまなロケーションで、他のユーザーとコミュニケーションしたり、ゲーム・カラオケ・映画鑑賞会といったイベントを楽しむ、いわば「VRソーシャル」です。用意されたストーリーを受動的に体験するだけではなく積極的にそこへ参加し始めた時、私たちにとってVRはどのような存在になっていくのでしょうか?

現実とはまったく違う人生を生きることができそうな可能性がありますよね。リアルとは紐付けされずに、その中に国があってお金を稼いで生活するという世界。現実の人間には絶対不可能なことができたり、そこから新しいビジネスが生まれたりと、過去なかなかうまくいかなかったメタバース※的なサービスに大きな進化があるかもしれないですね。」

人が飛べる世界もつくれるが、あえて飛べない設定にすれば「飛ぶ道具」がビジネスを生みます。生物としてのスペックを変えられない現実世界とは違い、想像できることはすべて実現できる世界。PCやスマートフォンを使うことで「便利になった」というレベルではなく、人間という制約を取り払って生きていくことを、我々は想像できるでしょうか?

「世代によっても受け止め方が違うと思います。若い世代は現実の生活とSNS、リアルとネットの垣根が低いですから、それがもっとなくなって世の中の“当たり前”が変わってくるかもしれませんね。」

VRChat

技術的要素としては映像や音響の延長でありながら、人間にとってまったく新しい形で「体験」をもたらすVR。その世界が進化を続けた時、映画『マトリックス※』で描かれたような現実(映画では人類はそこが仮想世界だと気づかないまま生活していた)が訪れるのではないでしょうか? 最近のAI※やロボット技術然り、新しいテクノロジーに夢を見つつも「人の認知を超えるもの」に対する恐れが想像させる未来もあります。

「ロケットが開発された時、月へ到達するのがやっとだったのに、当時からコロニーや宇宙移民というところまで想像が飛びましたが、現実には半世紀近く経ってもそこへ届いていない。VRについてもいろいろ想像はできますが、現実にはなかなか時間がかかりそうですね。」

「0から1」の変化をもたらす技術の黎明期

人間の視覚はフイルムからデジタルへ、ブラウン管から液晶へ、ハイビジョンから3Dや4K※へと技術の進化を経験してきました。しかし、VRは単にビジュアルやサウンドがリッチになるという従来の進化とは意味が異なります。VRサミットにおいてVRコンソーシアム※代表理事・藤井直敬氏は、VRを「人類の認知を拡張し、進化させる環境・技術」と語りました。その言葉は、もっと本質的な変革を予感させます。

「今はまだ情報を出す人・キャッチする人が技術者や一部の業界人に限られているから、技術的な情報やゲーム関係の話が多く、視点が広がらないように見えるのだと思います。あくまでエンタテインメントである間は、ゆるやかな進化が続くのではないでしょうか。今後本当に“もう一つの世界”のようなものが人々の生活で求められるなど必然性が出てくると、一気に進化するはずです。」

人間のスペックではできないことが可能なら、今後エンタテインメントだけでなく、医療・教育・産業等の分野でも、物理的な制約で不可能だったことが実現されるようになっていくでしょう。ただ、冒頭の話にもあったようにそれが一般化するまでにはまだ時間がかかります。

「一足飛びにVRが世界中の人に浸透するまでにはいかないと思いますが、VRの進化がさまざまな分野から望まれていることは確実です。技術的には黎明期で実験的な取り組みも多い今だからこそ、いろいろな立場からのアウトプットがなされていくことが重要だと思います。」

今回、VRサミットから「VRの本質」についてじっくりと考えてみたわけですが、見えてきた答えは「VRの限りない可能性」ではないでしょうか? もちろん、デバイス普及の課題や仮想世界への恐さなど、VRが一般化する道のりは遠い。しかし、さまざまな分野からのニーズに応え、その体験価値を高めることによって、確実に道は開けるはずです。次回は実際にVRコンテンツを制作している面白法人カヤックのVRを突撃取材。VRコンテンツを制作してきたからこそ見えてきた「VR」とは何か? この「VRの限りない可能性」を別軸から掘り下げていきます! 

 世界は変わる!? 仮想現実の本質 Part 2  

この記事の情報は取材時点のものです。

Feature Vol. 01 世界は変わる!? 仮想現実の本質

「すごい!」。VRを体験する人たちの口からは必ずこの言葉が溢れ出します。いつか夢見た「ゲームの世界に自ら入り込む」体験。ディスプレイを眺めるだけでは味わえなかった没入感が多くの人を魅了し始めています。そんな「VR」の可能性を、常に新しい“面白さ”にアンテナを張りゲーム開発に取り組むgloopsが探ります!